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「サイコロ給」に込められた想い―この「社則」、効果あり。  
2009.02.14 (Sat)
この「社則」、効果あり。』によると、著者柳澤大輔氏が社長を務める
面白法人カヤックでは、毎月の給料の一部を「サイコロ給」として、
なんとサイコロの出た目によって決めているという。

どうせ「一流のビジネスパーソンたるもの運も味方につけねば」とか
そんな理由だろうと予想して、よく社員がそれで納得するなぁと思いながら
読んでいたら、意外にも素敵な理由で、ちょっといいなぁと思ってしまった。


面白法人カヤックは、同級生だった友人3名で設立したらしいが、
その際、多くの人から「友だち同士での起業は失敗するからやめておけ」
とアドバイスされたという。
最初はうまくいっても、将来絶対お金のことでもめるからと。

そこで、年月が経っても、「お金よりも、もっと大事なものがある」ということを
思い出させてくれる仕組みとして、サイコロ給というものを考えたということだ。

また、人が人を評価するのに正解なんてないのだから、
そんなことで必要以上に悩まずに、
「給料なんてサイコロで決まるくらいでちょうどいい」くらいの感覚で
楽しく生きましょう、という意味もあるのだという。


そんなカヤックを表すキーワードが、「何をするか」より「誰とするか」だという。

この考え方には個人的にとても賛同できる。

今就職活動をしている学生を見ていると、
自分がどんな仕事に向いているかについて結構な時間をかけて悩み、
志望動機としてそれをもっともらしく語ってみせるが、
実際のところ、何に向いてるかなんて、やってみなきゃわからんもんだ。

やりたいことがあって選んだ会社に入ったからといって、
やりたいと思ってたことをやらせてもらえるとも限らないし。

それならば、何をやってる会社なのかはよくわかってないけれど、
この人と一緒に働きたい!と思える人のいるところに行くというのも
企業選びの仕方としては全然アリだ。


そんなことを改めて考えさせられた一冊でした。



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edit |  21:55 |  その他雑談  | トラックバック(0) | コメント(0) | Top↑ | あとで読む このエントリーを含むはてなブックマーク
もし宇宙が素晴らしいアイデアをくれるとして  
2008.12.22 (Mon)
先日は、「就活コンパス~発想力編~」と題して
発想についてのイベントを唐突に実施させていただいた。

内容は、発想について、アイデアは全て書き出しましょうとか
アイデアの評価は後でまとめてしましょうとか
基本的な方法論についての話もしたのだけれど、
一番伝えたかったのは、「考える」=「考える時間をとる」だぞってこと。

hassoryoku_convert.jpg

どうも、「世の中を変えた画期的なアイディアはふとした瞬間に生まれた!」
みたいなエピソードを見聞きすることが多いせいなのか知らんが、
アイデアが、突然「思いつく」ものだと思っている人が学生には多い。

違うよと言いたい。
アイデアは「考えつく」、つまり「考えた末にたどり着く」ものである。

もちろん、遊んでるときにすんごいアイデアを思いつくことだって少なくない。
でも、なにげないときに思いつくっていうのはただの結果であって、
その瞬間だけ当てにしてぼんやり一日を過ごすことは「考える」とは言わない。


森博嗣氏の「本当に考えたの?」という記事を読んだときは
本当にそうだ、そのとおりだ!と思った。

多くの人が言う「考えた」というのは、「考えようとした」のことらしい。同様に「悩んだ」も「悩もうとした」である。否、たとえ考えようとするだけでも、100時間くらい考えようとしていれば、なにかは実際に考えるだろうし、そして、考えれば、なにかは思いつくだろう。きっと具体的な案がいくつか出てくるはずだ。ほんの一瞬だけ考えようとしたくらいで「考えた」なんて言わないでほしい。


だから、ゼミで「発表のテーマを次までに考えてきましょう」って言われたときには
図書館やインターネットで必要な情報を集めた後は
机に向かって紙とペンを駆使しつつ、自分の頭と格闘しなきゃならない。

お風呂やベッドでそういえばと思い出して
「あー、思いつかねぇなー」っていうのは、考えるとは言わないのである。


よく、「発想力」がある人、ない人という言い方をするけれど、
芸人のような職業を除けば、発想に瞬発力が求められることはあまりない。
であれば、基本的には「どれだけ時間をかけているか」の違いなんじゃなかろうか。

それでも、いや、それは才能の違いだとか、
あるいは、発想は偶然が重なって生まれるのだとかいう人には次の言葉を贈りたい。

もし宇宙が信じられないような素晴らしいアイデアをくれるとして、
きみはそれにふさわしいかね?



仕事は楽しいかね?』より。

普通、ある人の周りでだけいつも殺人事件が起こるというような
名探偵なにがしのようなことは、まずありえない。
であれば、あとは周囲の物事をとらえるアンテナの違いなのである。

試してもらえるとよくわかるが、
なにか特定のことについて集中して考えていると、
周りのどんなものでも、そのことと結びつけられないかと思いつくものだ。

例えば今回のイベントでは、
「空港にあると便利な施設・サービス」というテーマについて考えてもらい、
考えにつまったら見てくださいと言って、国語辞典を置いておいた。

これを適当にめくってみる。
「たたき起こす」という言葉が目に付く。
そうだ、出発の時間になったら起こしてくれる仮眠所はどうだろう?と思いつく。

同様に、いくらでも連想からひらめくことができる。
「封印」→10年後まで荷物を封印してもらえる、手荷物預かり所は?
「時給」→空き時間で気軽に労働力を提供できる作業所は?
「少納言」→旅先の歴史を機内で学べるワークブック売り場は?
「うろ覚え」→うろ覚えのお土産品を、特徴から検索できる店舗案内所は?


でも普段は、国語辞典を見るときに空港の施設のアイデアなんて普通思いつかない。

宇宙がどんなに素晴らしいアイデアのヒントを目の前にちらつかせてくれても、
それに気づき、利用できなければ意味がないのだ。

それができる人が、「発想力がある人」と呼ばれるわけだが、
それって何か生まれもった能力の違いというよりは、
日頃から、何にどれだけ深く思考を巡らせているか
という違いなんじゃないかなと思うわけである。



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edit |  17:33 |  我思う  | トラックバック(0) | コメント(3) | Top↑ | あとで読む このエントリーを含むはてなブックマーク
個性を発揮しろ!※ただし期待されるとおりに  
2008.12.08 (Mon)
バカの壁』で面白いなーと思ったのは、
個性が大事だとかいうなよっていう話。

養老氏曰く、今の若い人は、がんじがらめの「共通了解」を求められつつも
口では「個性を発揮しろ」と言われる矛盾した境遇に置かれている。
要するにその命令の真意は、「求められる個性」、つまり
組織が期待するパターンの個性を発揮しろということでしかないと。

そして、養老氏ははっきりと言い切っている。
個性なんてものは初めから与えられているものであって、
それ以上のものでもなければ、それ以下のものでもないと。

「自分の個性って何だろう」って悩んでいる人には、
「あんたと隣の人と間違えるやつ、誰もいないよ」
と言ってやればいいと(笑)

だから教育現場で個性を伸ばせなんてことを言うよりは、
親の気持ちがわかるか、ホームレスの気持ちがわかるか、
友達の気持ちがわかるかと、共通性を追求するほうが余程まともだと。

そういえば以前、村山先生の教育人間塾の中でも、
「個性なんて言葉は教育現場では死語になりつつある」という話を聞いた。
同じ意味だったのかわからないが、へぇーそうなんだと意外に思った。


私が「個性」と聞いて思い出すのは、
THE BLUE HEARTSのYOUNG AND PRETTY収録の
「ロクデナシⅡ(ギター弾きに部屋は無し)」という歌。

どこかのエライ人テレビでしゃべってる
「今の若い人には個性がなさすぎる」
僕等はそれを見て一同大笑い
個性があればあるで押さえつけるくせに


養老氏の言わんとしていることを、わずか4行で表現してしまっている!?



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edit |  19:12 |  その他雑談  | トラックバック(0) | コメント(0) | Top↑ | あとで読む このエントリーを含むはてなブックマーク
恐怖がなかったら何をする?  
2008.11.15 (Sat)
チーズはどこへ消えた?』は、ちょうど自分が高校生のときにやたら売れてて、
読みやすそうだしタイトルもキャッチーだしで読んだ記憶がある。


今読むとまた違った感想を持つと思うけど、
当時の感想は、「内容薄っ!!」って感じだった。

なんでこんな内容の薄い本が売れているのか不明。

売り文句として、
「この本を読んで何も感銘を受けない人は、
 まだ大事なことに気づけるレベルに達していない人だ」
みたいな、言葉は違うと思うけどそんなようなことが書いてあって、
その文章もまた、要するに「はだかの王様」方式で売れてるだけじゃねーのかと
小生意気なティーンエイジの自分を冷めさせた。


そんなわけで読んだ内容とかも、ほとんどはすぐに忘れてしまったのだが、
ひとつだけ、何か心にひっかかりがあってか、
今に至るまで覚えていることがある。

それが、「もし恐怖がなかったら、何をするだろう」みたいな言葉。

自分でも気づかぬうちに、恐怖心によって行動を変えていないだろうか。
もし恐怖がなかったら、しようとすることは何だろうか。


PRGで冒険の書を進めるような感覚で人生を進めていけたら楽だろうなとか
そういやその頃考えてた気がする。

王様に「ゆうしゃよ、魔王をたおしてまいれ!」とか言われて、
自分は意気揚々と「はい」を選択するけれど、
もしも自分が本当に勇者の立場にいたら、ゼッタイに恐い。
魔王に魔法で攻撃とかされようもんなら、ゼッタイ熱いし。

だとしても、勇者の選択としては、やっぱりそこはYESしかないわけだ。
王様や普通の村人には不可能なのだから。

そこで勇者の選択としてはYESしかない、ということが、
プレイヤーの立場からならば、明確にわかる。
それは恐怖心がないからだ。

もしも、自分が恐怖心で行動を変えようとしてるんじゃないだろうかって思えたときは、
RPGだったら自分はどうやって進めるかな、ってことを考えてみてもいいかもしれない。



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edit |  09:51 |  我思う  | トラックバック(0) | コメント(0) | Top↑ | あとで読む このエントリーを含むはてなブックマーク
開けっ放しのドアはいかにして生じるか―情報共有と現状維持バイアス(後)  
2008.10.29 (Wed)
前回の続き。


現状維持バイアス

人は変化を恐れる生き物だ。

人生のプロジェクト』では、
「人は今より悪くなることと同じくらい、今より良くなることに恐怖心を抱くようだ」
と表現されていたが、言い得て妙である。

「ドアは必ず閉めましょう」という貼り紙が
目に入る場所に貼ってあったとしても、
目の前のドアが開けっ放しになっていれば
あえてそれを閉めようとはしないものだ。

実際、明文化されたルールと機能しているルールが違うことはよくあり、
そういうとき、しばしば機能している暗黙のルールが優先されるものである。


だから、新しいルールを早く定着させたければ、
「~しましょう」と呼びかけるよりも、
既にそうなっているように振舞うほうが賢い。

貼り紙をするならば、「ドアは必ず閉めましょう」ではなく、
「このドアは常に閉められています」となる。

そんなアホな貼り紙あるかと思うかもしれないが、
そういう貼り紙は既に存在する。

見たことがあるはずだ。
「いつも当店のトイレをきれいにご利用いただき、誠にありがとうございます」
というやつ。

この貼り紙は、感謝の意を示したくて貼っているわけではなく、
「このトイレはいつもきれいである」という事実を作るために貼っているのである。


募金箱にあらかじめお金を入れておくのも、
「お金を入れる人がいる」という事実が、人の募金行動を促すからである。

そういう意味で、「貼紙禁止!」という貼り紙は最悪。
そこに貼り紙があるという事実を、それ自体が作り上げてしまっている。


情報の共有のほうで、過去の変遷を記録しておくことが
新ルールへの移行の妨げになる可能性があると書いたのは、
それまでのルールを忘れさせてしまったほうが
現状維持バイアスは働きにくくなるからである。

そういえば消費税が内税表示になったのも、
増税しても変化がわかりにくいようにするためだと言っていた人もいた。


まとめ

開けっ放しのドアは、情報の共有ミスと現状維持バイアスによって生じる。

●情報共有
 1. 明文化
  ・過去の変遷は全て記録に残しておく
  ・例外を認めるケースも必ず明文化する
  ・重要でない情報を共有できる機会を設ける
  ・情報の重要度は媒体で区別する
 2. 目に入るしくみ
  ・誰がその情報を確認したか、はっきりわかるようにする
  ・情報を確認しなければ目的の行為ができないようにする
  ・ルールは極力全員参加で決める
●現状維持バイアス
 「~しましょう」よりも、事実を作ってしまう
  ・「いつもきれいにご利用いただき~」
  ・募金箱にはお金を入れておく
  ・旧制度を早く忘れさせたほうが、新制度は早く根付く



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夢は逃げない  
2008.10.14 (Tue)
「夢は逃げない。逃げるのはいつも自分だ」
(高橋 歩 『毎日が冒険』)


ぼくらは、いつ、どこで夢から逃げてしまうのだろう。

理想と現実のギャップを知ったときか。
自分の才能に諦めを感じたときか。
それとも、いかにも真実らしい統計と確率論を覚えたときか。
もしくは体のいい言い訳が見つかったときか。


学生時代の家庭教師のときの教え子から、しばらくぶりのメールがきた。

高校を辞めて、歌手を目指すと。

いいなぁ!と素直に思った。
あの気の強いお母さんを頑張って説得したんだなってのも嬉しかったし、
それを自分に報告してくれたことも嬉しかった。


自分の高校の、ある国語の先生がおっしゃっていた。

夢を持っている状態というのは、=夢が叶っていない状態である。
だから辛いもんなんだと。

これからの道、楽しいことばかりではないかもしれないが、
夢から逃げずに頑張ってほしいなと思って、
「応援してるよ」ってメールした。



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edit |  21:10 |  その他雑談  | トラックバック(0) | コメント(0) | Top↑ | あとで読む このエントリーを含むはてなブックマーク
僕の後ろに道は出来る  
2008.10.06 (Mon)
人生の進路なんて、迷ったときには
鉛筆でも倒して決めればいいんじゃないかと思ってる。

ただ、進むべきは鉛筆が倒れたほうじゃなくって、
鉛筆から手を離すときに、ちょっとだけ自分で故意に傾けようとしたほうだ。


結局それが一番後悔のない選択なんだろう。


edit |  19:35 |  我思う  | トラックバック(0) | コメント(2) | Top↑ | あとで読む このエントリーを含むはてなブックマーク