2008.09.01 (Mon)

北海道大学を会場として行われたICMPC10が嵐のように終了。
連日会場周辺は各国から集まった参加者たちでごったがえしていて
なかなかのお祭りムードでした。
あれだけ急に周囲がガイジンだらけになってしまうと、
嫌でも文化の違いについて考えさせられる機会がたくさんできる。
今回改めて感じたのは、彼ら、特に欧米人の
他人への関心度の高さである。
まあ海外に来てテンションが上がってるせいもあるだろうが、
彼らは、そのとき、たまたまそこにいる人に対して
いつも一人の人としての、ある程度の関心を示しているようにみえる。
小さな共通点など、話の糸口が生まれるきっかけを決して見逃さず、
積極的にコミュニケーションをとっていく。
大げさにいえば、人類皆兄弟なノリである。
ともすると、街角でティッシュを配っている人にさえ
「ありがとう!ちょうどティッシュがほしかったんだ。
どうやら風邪をひいてしまったようでね。というのも昨日~」
なんて身の上を話し出したりしそうな、そんな勢いである。
この彼らのノリに乗じて、何度か
"Hi, how are you?"なんてなれなれしく話しかけたりしてみたが、
一人として、ヘンな顔をしたりする人すらいなかった。
自然。
実に自然に言葉を返してくれるものだから、逆にこっちが戸惑ってしまうくらいだ。
普段から、日本人って他者一般への関心が低いよなーと思うことがある。
例えばそれはチラシを配っている人に目もくれずに素通りする人を見たとき。
例えばそれは「ごちそうさま」も言わずに食堂を出て行く人を見たとき。
例えばそれは大学の構内で、互いに顔を知っている仲であっても
あえてすれ違いざまに声をかけようともしなかった自分を思い出すとき。
日本人にはきっと、欧米人と比べて、
日常の中でストレンジャーと交流する機会が圧倒的に少ないのではなかろうか。
アメリカン・ジョークの中にも日本人の外交の下手さをネタにしたものがあるが、
日本人は「交渉」の前に「交際」がヘタかもしれないね。
そんなことを考えさせられた国際学会でした。
自分の発表はというと、まあひとつだけ、やらかした。
自分のところにやってきたガイジンAに、ポスターの内容を一通り説明した後、
ガイジンAが、グラフを指さして「コレはなんだ?」と言う。

指し示す先には"craping"の文字。
ああ"p"がひとつ抜けてたか、なんて思いながら、
「なにって、クラップだ。」と、手をたたいてみせるワタシ。
ガイジンAが言う。
「それは"clap"だ」 と。
Ohソーリーなんて笑ってごまかす私に、
「それ(crap)どういう意味か知ってんのか?」とガイジンA。
「アイドンノー」とワタシ。
するとガイジンAは声をひそめて言った。
「"shit"だ(爆笑)」
・・・まあ言語なんて失敗体験を積み重ねて学ぶものだからさ(汗)
関連エントリー:
失敗体験によって学ぶ
8/25-29のICMPC10で発表させていただきます
日本と西洋における身体接触に関する感覚の違いと習慣の違い
笹木 陽一 |
2008.09.03(水) 20:13 | URL |
【コメント編集】
>笹木さん
お忙しいところをわざわざモエレ沼まで足をお運びいただいて
本当にありがとうございました。
おかげさまで、ディナーパーティもなかなか盛大に行われ、
撤収までほぼ時間通りに終えることができました。
僕自信実は一度も海外に出かけた経験がないので、
今回のようにいろんな国の人と交流できる機会はとても貴重でした。
欧米型のコミュニケーションが全て良いわけではないというのは
おっしゃるとおりですね。
村山先生もおっしゃっていたように、日本人の「慎ましさ」というのは
それはそれで世界に誇れるものだと思います。
日本人の良いところを大事にしつつ、他国文化の良いところを
吸収していくことができたら一番良いんですけどね。
まずは「和して真率」を目指して交際していくことを目標に(笑)
それではまた人間塾でお会いしましょう!
お忙しいところをわざわざモエレ沼まで足をお運びいただいて
本当にありがとうございました。
おかげさまで、ディナーパーティもなかなか盛大に行われ、
撤収までほぼ時間通りに終えることができました。
僕自信実は一度も海外に出かけた経験がないので、
今回のようにいろんな国の人と交流できる機会はとても貴重でした。
欧米型のコミュニケーションが全て良いわけではないというのは
おっしゃるとおりですね。
村山先生もおっしゃっていたように、日本人の「慎ましさ」というのは
それはそれで世界に誇れるものだと思います。
日本人の良いところを大事にしつつ、他国文化の良いところを
吸収していくことができたら一番良いんですけどね。
まずは「和して真率」を目指して交際していくことを目標に(笑)
それではまた人間塾でお会いしましょう!
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「日本人は交渉の前に、交際がヘタかもしれない」との指摘に、なるほどと納得させられました。私の海外経験は旅行で2回ヨーロッパに行った程度ですが、日本にいるときの同質性圧力が感じられず、とても開放的な気分で過ごせたことを思い出します。欧米型のコミュニケーションが全て良しとは思いませんが、現代の日本人同士に漂う閉塞感を脱するには、「他者への関心」を今一度取りもどす必要があるのかもしれません。
福沢のいう「人間交際の要も和して真率なるにあるのみ」の境地に達するには、まだまだ経験が足りないのですが、今回の学会参加で垣間見ることのできた、幅広い世界への関心を持続し、これからも様々な出会いを楽しみに学びを深めたいと思います。
今週末は指導している吹奏楽部が全道大会に出場するため人間塾には参加できませんが、次の機会に直接お話しできればと思います。長くなってすみません。では失礼いたします。