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美味しいときに「おいしい」と言うな―コメント力  
2009.06.09 (Tue)
質問力―話し上手はここがちがう』に続き、
齋藤孝氏の『コメント力―「できる人」はここがちがう』を読む。

ちなみに出版されたのも、この順。
齋藤氏によれば、質問する力も「コメント力」の一部であるとのこと。


本書は「どうすれば良いコメントができるか?」という問いに対する答えを
期待して読む本ではないかもしれない。

本書はむしろ、「どうすれば良いコメントができるか?」という問い自体を
得るための本
である。

齋藤氏自身も本書の中に書いていることであるが、
「○○力」という名前をつけ、その力を意識的にとらえることで、
それを鍛えようという意識が生まれる。
本書はまさにそのための本だといえる。

実際には、「ことわざや慣用句をうまく使うべし」とか、
「対句形式にするべし」みたいなノウハウのようなものも
数多く紹介されてはいるけれど、これら自体、
本書の「オリジナリティのあるコメントをすることが重要だ」という
コンセプトと矛盾している気がする・・・。


優れたコメントのヒントと解答例


ともあれ、本書を通じて、優れたコメントがどのようなものかという
ヒントと解答例を見ることは可能だ。

ヒントには以下のようなものがある。
○短い
○即時的である
○その人らしい
×あら探し
×足りない部分への言及
○内容が面白い、または表現が面白い(または両方面白い)
○額縁に入った言葉


「その人らしい」コメントとは、自分の立場を理解した上で
発するコメントである。
例として、長寿世界一となった泉重千代さんが
インタビューアーの質問に対して答えた言葉が紹介されていた。

Q.「好みの女性は?」
A.「年上の女。」


「額縁に入った言葉」とは、いささか抽象的だが、
例として挙げられていたのは、女優秋吉久美子が妊娠した際に残した、
「卵で産みたい」というコメント。

 人類史上、どれだけの人が出産前後のコメントを聞かれたことだろう。(中略)
 その回答はといえば、「不安」「死ぬほど痛かった」「もうやりたくない」「感動した」「素晴らしかった」など、だいたい3、4種類にわけられるのではないだろうか。しかしそれは単なる感想にすぎない。コメントのレベルには達していない。
 コメントとは、きちんと額縁に入った言葉である。それが言葉として生きつづけるような強さを持った切れのよい言葉である。



文庫版のためのエピローグ


ところで、本書を読む際には、ぜひ文庫版を読んでほしい。

巻末に添えられた「文庫版のためのエピローグ」がすばらしい。
わずが十数ページの付録だが、ここで紹介されている著名人らのコメントが
個人的には本書の中で一番輝いていると思う。

おそらく齋藤氏自身、『コメント力』を出版したことで
それまで以上に身のまわりの「コメント」に敏感になったのであろう。

ひとつだけ紹介。
矢沢永吉が、透明なガラスの自動ドアに真正面から
ガンとぶつかってしまったときのコメントが最高だ。

「フェアじゃないね」


名コメントを求めて、本屋さんへ


さて、自分でも名コメントを見つけてみようということで、
書店に行って、本の帯に書かれた推薦文を見てまわった。

前回の『質問力』のときのように本書の内容に照らし合わせていくことは
あまり考えず、いいなあと思ったコメントをただ紹介してみることにする。

まずは、西川美和の短編集『きのうの神さま』に寄せた
椎名林檎のコメント。

西川美和というひとの描き写す街には、我々の暮らす日本よりも日本が散らかっている。


これいいよね。
確かに我々はここに描かれている国に住んでいるはずなんだけど、
そのことに、この本を読むことで改めて気づかされる。
そういえば、ここはそんな国なんだなっていう。
そんな感じですかね。

小説の推薦文って難しいよなぁと思う。
あらすじに触れるとネタばれになっちゃうから、
「この部分が面白い!」ってはっきり言えないのが辛い。

そんな小説の推薦文をもうひとつ。
チェーホフ・ユモレスカ―傑作短編集〈2〉』への、
池澤夏樹の推薦文。

チェーホフは大人用のチョコレートだ。
いい匂いがして、甘くて、苦く、
時にはヴォトカの刺戟が加わる。


なんとなく雰囲気が伝わってくる感じのコメント。
実は、「ヴォトカ」がウォッカのことだと分からなかったし、
正直「刺戟」も「しげき」と読めなかったのだけど(汗)、
それでも雰囲気が伝わってくるから不思議なんだなぁ。


夜中にラーメンを食べても太らない技術』に寄せた、
森三中の黒沢かずこのコメントは非常に明快。

ありがとうございます。
おかげさまで
お通じが
よくなりました


これは、実に「その人らしい」コメントだ。
なぜ自分がコメントを求められているのかを理解し、
ずばり自分にしかできないコメントをしているといえる。

自分の立場を理解したコメントをもうひとつ。
金のゆりかご』に添えられていたのは、
紀伊国屋書店新宿本店の片山峻太郎さんのコメント。

こういう本に出会えるから書店員はやめられないんです!!


本の内容は全く分からないけれど、書店の人がそこまでいうなら
きっと類稀に面白い本なのだろうと思ってしまう。


書店で見つけた中で一番すごいと思ったコメントはというと、
帯の推薦文ではないのだが、爆笑問題の太田光編集の、
人間失格ではない太宰治』という本の裏表紙に書いてあった
太田氏自身のコメント。

誰もが太宰に見抜かれた気持ちになる。ずっと隠してきた恥かしい秘密が、どうしてバレたんだろう、と思う。だけど太宰治の本当の素晴らしさは、そこにはない。彼が偉大なのは、読者を幸せにし、明るくさせる見事な小説を書いたからだ。私はそんな11本の短編を選んだ。


前半で「そうそう太宰ってそうなんだよねー」と共感させられた気持ちが、
後半で思いっきり裏切られる。
これは前著『質問力』にも書かれていた「沿いつつずらす」そのものだ。
前回のエントリー参照)

『質問力』との関連でいくと、自分の経験と絡めたコメントもあった。
糸井重里『ブイヨンの気持ち。』への、黒柳徹子のコメント。

私がトットちゃんの頃、
自分の犬に通信簿を見せていた。
糸井さんは大人だけど、
ブイヨンに秘密をうちあけたりしてる。


自分も小さい頃は同じことをしてましたと、相手に沿ってみせておいて、
でも、私は小さい頃だけだけどねっ!とずらしてみせる。
この黒柳氏との対比によって、
糸井氏の子どもっぽい無邪気な様が浮かび上がってくる。
お見事である。


実際に書店を徘徊してみて思ったのは、
気のきいたコメントってのは、意外に少ないものだな、ということ。
「絶対読むべき」「感動しました」
の類がものすごく多かった!

本書で、「コメント力」を鍛えるトレーニングとして、
「おいしい」という言葉を使わずに味を表現するというものがあったが、
なるほど、それくらい特に意識していないと、
我々はついありきたりで当たり障りのない表現を使ってしまうものなのだな。


その足で、ヴィレッジヴァンガードへ


ちょっと物足りなかったので、コメントといえば!と思いついて、
POPが個性的なお店、ヴィレッジヴァンガードに足を運んでみた。


壁カラ指っ!? ちょーどいいや。カギでもかけておこう。」
とか書いてある。


さて、向かった先は、漫画コーナー。
やっぱりここのコメントはすごかった。

まずは『デトロイト・メタル・シティ』のPOP。

立読め!!
最低コミック


「立ち読みしてみろ」じゃない、「立読め」だ。
「最低コミック」なのに、「立読め」と。
優れたコメントは短いものだというのがよくわかる例。

続いて、『さらい屋五葉』。

登場人物、全員
謎。


そんな漫画がありえるの!?
気になって読んでしまいそう。

最後に、『犬のジュース屋さんZ』の素敵なPOPを紹介。

100人中7人は笑うと思う。


それ絶対面白くないでしょw
と思いつつも、自分はその7人の中の1人かも??とか思いながら
マニアックな笑いを期待して手に取ってしまいそうな、秀逸なコメントだ。


ずいぶん長い話になってしまった。

最後に、まとめに代えて。
コメントの天才といえば、やっぱり松本人志の名が真っ先に思い浮かぶ。





今回は、シゴタノ!読書塾Vol.3への応募エントリー。
前回は締切を26分オーバーして涙を飲んだので、今回は早めに・・・。



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