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大人メソッド、子どもメソッド  
2009.08.07 (Fri)
いきなりですが暇だったら次の問題を解いてみてください。

A, B, C, D, Eの5人が1対1でじゃんけんをしました。引き分けはなかったものとします。
A:「全員1回はじゃんけんをしてたよ。でも時間がなかったから、ほかの4人の相手全員と1回ずつじゃんけんができた人は1人もいなかったんだ。同じ相手と2回じゃんけんをした人もいなかったよ」
B:「僕は3回じゃんけんができたよ。結果は2勝1敗だったな」
C:「僕も3回じゃんけんをしたけど、Bよりは勝った数が少なかったんだ」
D:「僕は1回しかじゃんけんができなかった」
E:「僕も1回しかじゃんけんできなかったけど、勝ったよ」
A:「僕は全部勝った」

(1) Aは何回じゃんけんをしましたか。
(2) Cとじゃんけんをして勝った人をすべて答えましょう。

 (『算数アタマ養成帳―算数が苦手な大人のための』より、一部改)

以下は解答編。

賢い大人の解き方


ひとつの解き方として、↓のような対戦表を作って考えていく。

janken01.jpg
右の数字は、何戦中何勝か。

こう見ると、BとCがそれぞれ3戦こなすためには、
必ずBCのどっちかがDEのどっちかとそれぞれ戦わないといけない。
DEはどちらも1戦のみなので、D対E、D対A、E対Aのカードはなくなる。

そしてBCがともに3戦こなすためには、
B対A、C対A、B対Cが必ず行われてなければならない。


janken02.jpg


Aは全勝なので、BはAに負ける以外の2戦が2勝になる。
↓つまりこうなる。

janken03.jpg


BはDかEとの対戦でもう1勝することになるが、
Eは負けなしなので、Bに負けるのはDということになる。
そしたらEはCに勝つということだ。

↓結果。

janken04.jpg

なので、問の答えは、
(1) 2回
(2) A, B, E  となります。


もっと賢い大人の解き方



そもそもじゃんけんのルールを考えると、
1対1の勝負で、必ず片方が勝ってもう片方が負けるということから、
・全員のじゃんけんの回数の合計は必ず偶数になる
・全員の勝ち回数の合計と負け回数の合計は同じになる

ということがいえる。

(1) A以外の4人のじゃんけん回数の合計は8回なので、
Aがじゃんけんをした回数も偶数だとわかる。
4回じゃんけんをした人はいなかったということなので、
答えは2回

(2) Aの2回を足すと、全員のじゃんけん回数の合計は10回。
つまり実際に行われた対戦回数は半分の5回だ。
ここでA、B、Eの勝ち回数を足すと、ちょうど5回になるので、
残り5回分は全て負け分ということになる。
よって、CとDは全敗だったということがわかる。

全敗同士のCとDが戦っていることはありえないので、
Cに勝ったのは、A、B、Eだとわかる。


小学生の解き方


ある小学生にやってもらったときの解き方。

対戦表を作って考えてみようってことだけヒントを出した。
そしたら、いきなり↓ドーンとこうである。

jankensho01.jpg


なんでこうなるの?って聞くと、「Bが2勝1敗だから。」
つまり、テキトーに予想して、左から○○×と書いただけである。

でもすぐに自分で気づく。
あ、Aは全部勝つんだった。
そしたらAには負けて、Dに勝とう。
ってことで訂正。

jankensho02.jpg

続けて、Cは1勝くらいだから、○××っと、
あ、Aは負けないから××○、あ、Dはもう試合ないから・・・と、
そんな感じでトライ&エラーを繰り返しつつ、ちゃんと答えにたどり着いてみせた。

それで思ったのは、この問題、はっきりいってこっちのやり方のほうがはやい。
トライ&エラー最強。

この問題に限らず、あれこれ考える前にとりあえずアクションをおこしてみて
結果を見て適宜修正を加えるっていうやり方が結局一番はやかったりする。
本当に、そういうことって多い。


この問題が面白いのは、小学生でも解ける問題なのに、
中学生に解けない子が多かったりすることだ。

察しがつくと思うが、中学生で解けない子というのは
何もしないうちから「わかりません」ってあきらめちゃうタイプ。

そういう子の半分は、極端にいうと、わかるまではできちゃいけないと思ってる。
理解もせずにテキトーに解いても意味ないと思っているのだ。

ちなみにもう半分は、そもそも問題を解くことに興味がない。
まあ、何らかの納得のいく正解ってのがあるんでしょーというくらいにしか思わない。
ああこういう問題よくあるよね、みたいな。
例えばそういう人は、この記事を読んだときにも自分で問題を解くことはない(笑)


さてそれで、「最近の大学生は、頭は良いんだけど、頭でっかちで動けない」
っていうような話はあっちこっちで耳にすることがあるんだけど、
そういう行動様式というか、そのもとになる価値観の形成って、
どこで、どのタイミングで起こっているんだろう。

学校教育にその可能性を見出すことは、できるといえばできる。
学校のテストの「答えが合ってても途中式が間違ってたら×」という文化とか、
座学中心の授業スタイルとか。

子どもにとって確実によくないと思うのは、「間違えることが恥」という文化で、
こればかりは本当にどげんかせんといかん。
別に教師が作り出してるわけではないのだろうけれど。


自分の小さい頃のことで思い出すのは、
幼稚園の頃からやってたゲームボーイ(初代)だな。
あれはトライ&エラーの賜物だった。

「北から5つめの洞窟に行け」とか言われて、
どっちが北かもわからないのにクリアできてたからな(笑)



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edit |  22:04 |  その他雑談  | トラックバック(0) | コメント(0) | Top↑ | あとで読む このエントリーを含むはてなブックマーク
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