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教科書を捨てよ、取材へ出よう―[書評]大学生からの「取材学」  
2009.07.22 (Wed)
最近、興味をもった人に個人的に時間をとってもらったり、
逆に連絡をもらってお会いさせてもらうような機会が増えてきた。

そんななかでちょうど『質問力』を読んだこともあって、
対談というものの奥の深さについて考えさせられていた。

一方的、あるいは双方的な事前情報をもとに、
目の前の相手との共通点を見つけ、共有しつつ、うちとけた上で、
自分とは違う相手の思考・魅力・強みを探り出していく。
それを自分なりに咀嚼して、今度は自分が別の場所で誰かに伝える。

そういう、価値のある話を聞きたいと思う人との対話はすべて、
いわば「取材」的な要素をもつ。

だから「取材」という名の業務をこなす人でなくても、本書
大学生からの「取材学」-他人とつながるコミュニケーション力の育て方
を読んで参考にできることは大いにあるはずだ。


著者は、大学で行う「取材学」の講義で、受講生全員に「取材」を課す。

ある学生は、一升瓶を持ってホームレスの人に話を聞きに行く。
ある学生は、家族内のタブーであった姉の死の真相を母に問う。

イデオロギーを現実に押し付けるな。
相手の目を見て話そうなんて思うな。
本書には、その著者の取材への姿勢や心構え、技術などが広く綴られている。

また、社会学者の宮台真司氏、ドキュメンタリーの森達也氏など、
ゲストの方の「特別授業」も収録されている。


特に大学生にとっては、就職活動だって「取材」の連続だ。
OB・OG訪問、会社説明会、面接etc.
人から話を聞きだすことの重要性は、わざわざ説明される必要もないだろう。

いろいろ聞きたいことがあったはずなのに、
いざ本人を前にするとどうもうまくいかない。
そんな人は、きっと本書に何らかのヒントを見出せるはずである。


シゴタノ!読書塾Vol.4応募記事です。
今回のテーマは「読んですぐに役立つ本!」。



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edit |  23:05 |  その他雑談  | トラックバック(0) | コメント(2) | Top↑ | あとで読む このエントリーを含むはてなブックマーク
コメント
マスコミの取材対応を仕事としています(広報です)。
なるほど、多くのものは取材であるといえば、その通りですね。
であるならば、得たものを、アウトプットにしっかりとつなげなければいけませんね。しっかり働かなきゃ、そう感じました。
しんりん |  2009.08.04(火) 22:51 |  URL |  【コメント編集】
>しんりん様

今回大賞受賞の方ですね。おめでとうございました!
短いのに読みたいと思わせる文章、さすが大賞だな!と思いました。

ブログを書くようになってから、自然とどうアウトプットするかを意識しながら
人の話を聞くようになった気がしてます。
そういう意味でも取材的な経験が日常多いなと。
本職の方にはかなわないまでも、すごい人からは
ちゃんとすごい話を聞きだせるようになりたいなと思ってます。
oika |  2009.08.04(火) 23:43 |  URL |  【コメント編集】
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