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「笑うな」で笑う感覚  
2009.11.23 (Mon)
筒井康隆短編集『笑うな』収録、同名の作品「笑うな」は、
大人が読んでも純粋に楽しめる作品でありながら、
小学生高学年くらい向けの国語のテキストとしての利用価値も高い。


非常に味わい深く、また不思議な文章だ。

ストーリーをここに書くことは避けるが、
8ページ程度の短い文章の中に、これでもかというほどに、
豪快で繊細な人物描写がつめこまれている。

「登場人物の感情が読みとれる表現に線を引け」
という課題を与えたなら、きっと線だらけになってしまうだろう。

 おれはいらいらしながらも彼につりこまれてクスクス笑った。「ナ、なんだよう。早く言えよ」
 彼の顔は、まっ赤になっていた。「あの、マア、言うけどさ」また、クスクス笑い、おれをちらりと見て眼をそらし、さり気なくいった。「言うけど、笑うなよ」


そのほとんどは、笑いに関する描写なのだけど。


といっても、直接的な笑い声の表現自体は、
「ギャッハハヒー」とか「デレシシシ」とか凝ったものではなくて、
「ワハハハハハ」と、これだけなのだ。

にもかかわらず、その笑い様が「ワハハハハハ」どころの騒ぎではない
壮絶なものに想像されてしまうところ、作者の筆力にただ恐れ入る。


初めに「小学生高学年くらい向け」と書いたが、
実際には、多くの小学生にとっては少し難しいかもしれない。
語彙や漢字がというより、この可笑しさの感覚をつかみ取るのが、である。

彼らはこういう理由で笑っているんだよと言葉で説明できるものでもないし、
仮に説明されたとしても、それで腑に落ちるようなものでもないのだ。

しかしだからこそ、小学生のうちに一読しておく価値がある。
そして何年か後にもう一度読み直したときに、
作者の可笑しさの感覚を共有できている自分に気がつくはず。

そういう意味で、語句の意味を辞書的に理解していることと、
文意を感覚的にも理解することとの違いを体感できる
良い教材になるんじゃないかなと。


「笑うな」というタイトルを教えないでおいて、
読んでからこの文章のタイトルを考えてもらうというのも面白そうだな。



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