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課長が部長が社長が息子に借りたPCを壊したと言っていた。―日本語の作文技術  
2010.04.03 (Sat)
いろんな方が薦められてるけど、
日本語の作文技術』は本当に良書だと思う。

作文の際にこれまで感覚的にやっていたことを、
ちゃんとルールとして明文化してくれているのだ。

作文で「あれっ、何かおかしいな」と思ったときに
判断のよりどころができるのが非常に有難い。
1970年代に書かれたものながら、バリバリ現役で活用できる。


意識するだけですぐにもでも実践できるルールを、
本書から1つだけご紹介しましょう。


結論から。

修飾語と被修飾語を近づけるべし。

単純そうにみえて、なかなか適応範囲の広いルールなのです。


長い修飾語(節)を前に、短い修飾語(句)を後に


まず前提として、本書でいうところの「修飾語」というのは
広義での「かかる文節」(「うける文節」の対)を意味しています。
なので述語にかかる全ての単語・文節は修飾語だという認識で。


 × 午後はずっと気になっていたカフェでくつろぎたい。

上の文は↓こういう構造になっているのだけど、
shoshokugo.jpg

「午後は」という短い修飾語が前に来ているせいで
修飾語「午後は」と被修飾語「くつろぎたい」が離れてしまっている。
その結果どうなるかというと、
「午後はずっと」→「くつろぎたい」という解釈も可能になってしまう。

このような場合には、長い修飾語を前にもってくれば
解釈がぶれることがなくなる。

 ○ ずっと気になっていたカフェで午後はくつろぎたい。
 

これが守れない場合に読点を打つ



・短い修飾語を前に持ってきたい場合
・長い修飾語が2つ以上ある場合
このような場合には、修飾語の間に読点を打てばよい。

先ほどの例文でも、「午後は」というのを先に書いて強調したい場合は、
その後ろに読点を打てばよいのだ。

○ 午後は、ずっと気になっていたカフェでくつろぎたい。


長い修飾語(節)が2つ以上ある場合にも同様にする。

例えば「午後は」じゃなくて「この仕事が終わったら」だった場合、
以下のように書くと、これも解釈がぶれてしまう。

× ずっと気になっていたカフェでこの仕事が終わったらくつろぎたい。

カフェで仕事をしているような意味にもなってしまう。
そこで、以下のように読点を打つ。

○ ずっと気になっていたカフェで、この仕事が終わったらくつろぎたい。

これ以外の箇所に点を打つと意味が変わってしまう。
読点の場所がまずい↓のような文章も、意外によく見かけられる。

× ずっと気になっていたカフェでこの仕事が終わったら、くつろぎたい。


分かち書きの目的で読点を使わない


著者曰く、上記のような目的か、または
書き手の心理上の理由で打ちたい箇所を除き、
読点を乱用すべきでないと。

例えば分かち書き目的の以下のような読点。

× 私、只今、簿記、勉強中。

たしかに「私只今簿記勉強中」と書いてしまっては読みづらいのだが、
このように読点を使ってしまうと、本来の用途の読点との
区別がわかりにくくなるのでよくない。

なので、以下のような工夫によってこれを避けるべし。

○ 私ただいま簿記ベンキョウ中。
○ 只今わたし簿記を勉強中。



以上。

・修飾語と被修飾語はできるだけ近づける。
・それができない場合に読点を使う。
・読点をこれ以外の目的で使わない。


読点の打ち方については、本書でもう少し詳しく説明されてます。

またこの記事で用いた例文は僕が勝手に作ったものなので、
よくわからん点などがあった場合には、ぜひ本書もご参照くださいませ。



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edit |  23:08 |  その他雑談  | トラックバック(0) | コメント(0) | Top↑ | あとで読む このエントリーを含むはてなブックマーク
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