2010.08.18 (Wed)
成功事例でもないんだけど、個人的に面白かった体験。
国語を教えていた中学生男子で、
文章力に難があって国語の点数がとれない子がいた。
100点満点で50点いかないくらい。
でも話している分には特に発達が遅い感じもないし、
文章を読ませても内容をちゃんと理解できる。
作文能力が極端に低いせいで点数にならないようだった。
一番の問題は、とにかく文字を書くのを面倒くさがること。
問題用紙を渡しても、面倒くさがって口頭で答えようとする。
まずはこれを何とかせねばということで、
毎回テーマを決めて作文を宿題としてやらせたが、
まあーーこれも全然書いてくれない。
いつも3行4行といった程度。
そのくせクチは達者で、その3,4行の提出物の内容について、
放っておくと5分でも10分でも話をしようとする。
そんな調子でどうしようかと悩んでいたらある日、
その生徒に次のように言われて衝撃を受けた。
「先生、おれブログ書いてるから読んでよ」
え、なんでブログ書いてるの・・・。
読んだら、まあ野球のこととか親に怒られたこととか
他愛もない内容ではあるのだけど、
それでもただの内輪的な日記ではなく、
ちゃんと不特定多数を楽しませるような意図で書かれていた。
同じようなテーマで作文を書かせようとしても
全然書いてくれなかったのに!
そこで試しに、
「じゃあ今日の宿題はブログの更新にするか」
と言ったら、これがノリノリの様子なのである。
タイピングが文字を書くことの役に立つかどうかは微妙だと思ったが、
単純に興味深くなってきて、やらせてみた。
そしたら実際、約束どおりブログを書いてくれたのでまた驚いた。
さらに驚いたことに、その文章に対して改善案を話すと、
今までにないくらい真面目に聞いてくれるのだ。
文の途中で主語が入れ替わっちゃってるねとか、
内容のまとまりで段落を作ったほうが読みやすいねとか、
指摘された点をちゃんととり入れて、
次の回までにまた別の記事を書いてくれた。
なんで作文は嫌でブログは平気なんだろうというのが不思議で、
本人にも聞いてみたりして考えた、一応の結論。
パソコンを扱うことに対するおもちゃ的な楽しさや、
タイピングの楽さ・漢字が変換される楽さもあるのかもしれないが、
どうやらブログは、人に読んでもらえるのが嬉しいようであった。
学校の友達でコメントを残してくれる人がいるというだけでなく、
知らない人だが、いつも見に来てくれる人がいるのだということを
嬉しそうに語っていた。
作文を嫌う子供は多いけど、何かのヒントになりそうな事例であった。
以下は余談だが、決して無視できない余談である。
ひとつめ。
このブログ宿題は少しのあいだ続けていたが、
中止せざるをえなくなった。
テストの点数が悪かったのを理由に、
その子が親にPC使用を禁止されてしまったためである。
「お母さん、このブログが作文力向上につながるんです!」
なんて説得できる根拠のあるものでもなかったので、
それにて終了とすることにした。
ふたつめ。
その生徒曰く、彼がブログを書いていることは
どうやら学校の先生に把握されているようだとのことであった。
その子に限らず、どの生徒がどんなブログを書いているかは、
だいたい先生方に知られていると。
裏サイトがいじめにつながるという問題について
どこの学校もかなり神経質になっているのであろう。
気持ちはわかるが、あんまり先生が目を光らせているのもなぁ。
学校の愚痴くらいは気軽に書ける場所があってもいいと思うが、
なかなかバランスの難しい問題である。
関連エントリー:
・楽しいことは罪になるのが日本の学校文化
・『坊っちゃん』の読書感想文を書いてみました
・課長が部長が社長が息子に借りたPCを壊したと言っていた。―日本語の作文技術
国語を教えていた中学生男子で、
文章力に難があって国語の点数がとれない子がいた。
100点満点で50点いかないくらい。
でも話している分には特に発達が遅い感じもないし、
文章を読ませても内容をちゃんと理解できる。
作文能力が極端に低いせいで点数にならないようだった。
一番の問題は、とにかく文字を書くのを面倒くさがること。
問題用紙を渡しても、面倒くさがって口頭で答えようとする。
まずはこれを何とかせねばということで、
毎回テーマを決めて作文を宿題としてやらせたが、
まあーーこれも全然書いてくれない。
いつも3行4行といった程度。
そのくせクチは達者で、その3,4行の提出物の内容について、
放っておくと5分でも10分でも話をしようとする。
そんな調子でどうしようかと悩んでいたらある日、
その生徒に次のように言われて衝撃を受けた。
「先生、おれブログ書いてるから読んでよ」
え、なんでブログ書いてるの・・・。
読んだら、まあ野球のこととか親に怒られたこととか
他愛もない内容ではあるのだけど、
それでもただの内輪的な日記ではなく、
ちゃんと不特定多数を楽しませるような意図で書かれていた。
同じようなテーマで作文を書かせようとしても
全然書いてくれなかったのに!
そこで試しに、
「じゃあ今日の宿題はブログの更新にするか」
と言ったら、これがノリノリの様子なのである。
タイピングが文字を書くことの役に立つかどうかは微妙だと思ったが、
単純に興味深くなってきて、やらせてみた。
そしたら実際、約束どおりブログを書いてくれたのでまた驚いた。
さらに驚いたことに、その文章に対して改善案を話すと、
今までにないくらい真面目に聞いてくれるのだ。
文の途中で主語が入れ替わっちゃってるねとか、
内容のまとまりで段落を作ったほうが読みやすいねとか、
指摘された点をちゃんととり入れて、
次の回までにまた別の記事を書いてくれた。
なんで作文は嫌でブログは平気なんだろうというのが不思議で、
本人にも聞いてみたりして考えた、一応の結論。
パソコンを扱うことに対するおもちゃ的な楽しさや、
タイピングの楽さ・漢字が変換される楽さもあるのかもしれないが、
どうやらブログは、人に読んでもらえるのが嬉しいようであった。
学校の友達でコメントを残してくれる人がいるというだけでなく、
知らない人だが、いつも見に来てくれる人がいるのだということを
嬉しそうに語っていた。
作文を嫌う子供は多いけど、何かのヒントになりそうな事例であった。
以下は余談だが、決して無視できない余談である。
ひとつめ。
このブログ宿題は少しのあいだ続けていたが、
中止せざるをえなくなった。
テストの点数が悪かったのを理由に、
その子が親にPC使用を禁止されてしまったためである。
「お母さん、このブログが作文力向上につながるんです!」
なんて説得できる根拠のあるものでもなかったので、
それにて終了とすることにした。
ふたつめ。
その生徒曰く、彼がブログを書いていることは
どうやら学校の先生に把握されているようだとのことであった。
その子に限らず、どの生徒がどんなブログを書いているかは、
だいたい先生方に知られていると。
裏サイトがいじめにつながるという問題について
どこの学校もかなり神経質になっているのであろう。
気持ちはわかるが、あんまり先生が目を光らせているのもなぁ。
学校の愚痴くらいは気軽に書ける場所があってもいいと思うが、
なかなかバランスの難しい問題である。
関連エントリー:
・楽しいことは罪になるのが日本の学校文化
・『坊っちゃん』の読書感想文を書いてみました
・課長が部長が社長が息子に借りたPCを壊したと言っていた。―日本語の作文技術
risa |
2010.10.08(金) 01:35 | URL |
【コメント編集】
ブログ見させていただきました。
ブログの再開期待しています。
ブログの再開期待しています。
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ブログに達者だった彼の気持ちが良くわかる気がします☆毎日見にきてくれている読者(!?)を大切にしているなんて偉い!って思いました。そんな彼に対しての宿題の与えかたにもユーモアを感じました。
成績アップ&ブログ再開できるようになれたらいいですね。
頑張って下さい☆