2007.10.25 (Thu)
◆クロス集計の結果がいいように利用されそうな懸念。
文部科学省の今回の調査・報告には
ものすごく恣意的なものを感じてしまう。
今後このデータが各所でいいように利用されてしまいそうなことを懸念して、
今のうちに先手をとって確認しておきたい。
今回の文科省の調査では、テストの後に生徒への質問紙調査を行っていて、
その質問紙調査の結果と、テストの成績との関連について報告されている。
「家で学校の宿題をする児童生徒の方が、正答率が高い傾向が見られる」
ほうほう、まあ納得だな。
「読書が好きな児童生徒、家や図書館で普段から読書をする児童生徒(小学校調査においては30分以上、中学校調査においては10分以上)の方が、国語の正答率が高い傾向が見られる」
なるほどなるほど。やっぱり読書は大事だなぁ。
と読んでいると、以下すごい報告のオンパレードである。
「朝食を毎日食べる児童生徒の方が、正答率が高い傾向が見られる」
「学校に行く前に持ち物を確認する児童生徒の方が、正答率が高い傾向が見られる」
「家の人と学校での出来事について話をする児童生徒の方が、正答率が高い傾向が見られる」
「人の気持ちが分かる人間になりたいと思う児童生徒の方が、正答率が高い傾向が見られる」
「学校のきまり・規則を守っている児童生徒の方が、正答率が高い傾向が見られる」
なんか、良い子キャンペーンですかと思ってしまう(笑)
こういうデータを見るときに気をつけないといけないのは、
相関と因果を混同すべからずということ。
この報告だけを見て、
「朝食を食べれば成績が上がるんだ!」とか
「うちの子にも今日から持ち物の確認をさせないと!」とか思ってしまう人は
いろんな業者のカモになりやすい人かもしれない。
ひとつには、因果の向きが逆である可能性がある。
例えば「人の気持ちが分かる人間になりたいと思う児童生徒の方が正答率が高い」
についてであるが、
「人の気持ちが分かる人間になりたい」と思う→結果「高成績」になるのではなく、
「高成績」の(=テストで求められている正解を書くような)生徒だから、
質問紙でも、求められている気がして「人の気持ちが分かる人間になりたい」という
模範的回答をしてしまうのかもしれないということだ。

あるいは、第3の要因が隠れている可能性もある。
「持ち物を確認する」ことと「高成績」であることの背後に、
共通して「母親が恐い」という要素が隠れているかもしれない。
母親が怒るから、持ち物を確認する。
母親が怒るから、家で勉強する(結果成績が良くなる)という具合にだ。

そう考えると結局、成績を上げる要因は勉強させることだ、ということになる。
もっとも、こういった点に関しては文科省自体はちゃんと心得ていて、
「調査結果の解釈等に関する留意事項」にも、
「なお、児童生徒に対する質問紙調査の結果と教科に関する調査の結果との
クロス集計に関しては、必ずしも因果関係を示したものではないことに
留意することが必要である。」
とある。
ところで、そもそもの相関関係自体を疑ってみる余地もある。
気になるのは、このテストが実施された時間割りである。
小学生、中学生のいずれも、国語・算数(数学)のテストを実施した後に
質問紙調査を行っている。
これでは、テストの出来が質問紙の回答に影響を及ぼした可能性も否定できない。
たとえば、国数のテストがバッチリ解けた子は、
質問紙調査に自信をもって「オレは普段からちゃんとやっていたぞ」と答えるだろう。
逆にテストがあまり解けなかった子は、
「普段からちゃんとやっていなかったからだ・・・」
という気分になったかもしれない。
小学生などはなおさらだ。
可能であれば、カウンターバランスをとってもよかったのではないかと思う。
文部科学省の全国学力テストを検証目次
≪文部科学省の全国学力テストを検証する2 文部科学省の全国学力テストを検証する4≫
札幌だけの家庭教師「考動力研究会」
文部科学省の今回の調査・報告には
ものすごく恣意的なものを感じてしまう。
今後このデータが各所でいいように利用されてしまいそうなことを懸念して、
今のうちに先手をとって確認しておきたい。
今回の文科省の調査では、テストの後に生徒への質問紙調査を行っていて、
その質問紙調査の結果と、テストの成績との関連について報告されている。
「家で学校の宿題をする児童生徒の方が、正答率が高い傾向が見られる」
ほうほう、まあ納得だな。
「読書が好きな児童生徒、家や図書館で普段から読書をする児童生徒(小学校調査においては30分以上、中学校調査においては10分以上)の方が、国語の正答率が高い傾向が見られる」
なるほどなるほど。やっぱり読書は大事だなぁ。
と読んでいると、以下すごい報告のオンパレードである。
「朝食を毎日食べる児童生徒の方が、正答率が高い傾向が見られる」
「学校に行く前に持ち物を確認する児童生徒の方が、正答率が高い傾向が見られる」
「家の人と学校での出来事について話をする児童生徒の方が、正答率が高い傾向が見られる」
「人の気持ちが分かる人間になりたいと思う児童生徒の方が、正答率が高い傾向が見られる」
「学校のきまり・規則を守っている児童生徒の方が、正答率が高い傾向が見られる」
なんか、良い子キャンペーンですかと思ってしまう(笑)
こういうデータを見るときに気をつけないといけないのは、
相関と因果を混同すべからずということ。
この報告だけを見て、
「朝食を食べれば成績が上がるんだ!」とか
「うちの子にも今日から持ち物の確認をさせないと!」とか思ってしまう人は
いろんな業者のカモになりやすい人かもしれない。
ひとつには、因果の向きが逆である可能性がある。
例えば「人の気持ちが分かる人間になりたいと思う児童生徒の方が正答率が高い」
についてであるが、
「人の気持ちが分かる人間になりたい」と思う→結果「高成績」になるのではなく、
「高成績」の(=テストで求められている正解を書くような)生徒だから、
質問紙でも、求められている気がして「人の気持ちが分かる人間になりたい」という
模範的回答をしてしまうのかもしれないということだ。

あるいは、第3の要因が隠れている可能性もある。
「持ち物を確認する」ことと「高成績」であることの背後に、
共通して「母親が恐い」という要素が隠れているかもしれない。
母親が怒るから、持ち物を確認する。
母親が怒るから、家で勉強する(結果成績が良くなる)という具合にだ。

そう考えると結局、成績を上げる要因は勉強させることだ、ということになる。
もっとも、こういった点に関しては文科省自体はちゃんと心得ていて、
「調査結果の解釈等に関する留意事項」にも、
「なお、児童生徒に対する質問紙調査の結果と教科に関する調査の結果との
クロス集計に関しては、必ずしも因果関係を示したものではないことに
留意することが必要である。」
とある。
ところで、そもそもの相関関係自体を疑ってみる余地もある。
気になるのは、このテストが実施された時間割りである。
小学生、中学生のいずれも、国語・算数(数学)のテストを実施した後に
質問紙調査を行っている。
これでは、テストの出来が質問紙の回答に影響を及ぼした可能性も否定できない。
たとえば、国数のテストがバッチリ解けた子は、
質問紙調査に自信をもって「オレは普段からちゃんとやっていたぞ」と答えるだろう。
逆にテストがあまり解けなかった子は、
「普段からちゃんとやっていなかったからだ・・・」
という気分になったかもしれない。
小学生などはなおさらだ。
可能であれば、カウンターバランスをとってもよかったのではないかと思う。
文部科学省の全国学力テストを検証目次
≪文部科学省の全国学力テストを検証する2 文部科学省の全国学力テストを検証する4≫
札幌だけの家庭教師「考動力研究会」
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2007/10/28(日) 15:53:38 | detourist